ピカチュウげんきでちゅう

ジャンル:その他(音声認識)
ハード:ニンテンドウ64
メーカー:任天堂(開発元:アンブレラ)
定価:¥9800
発売日:1998年12月12日
備考:VRS(音声認識システム)同梱

ゲームの内容:同梱のマイクは、プレイヤーの言葉を認識してピカチュウに伝えてくれる。 このマイクに話し掛けて、ピカチュウとコミュニケーションを取ってミニゲームなどをやっていき、 ピカチュウと仲良くなっていくゲーム。具体的な目標などは一切無く、 ピカチュウと会話をしながら毎日を一緒に過ごしていくのを楽しむゲーム。

任天堂のピカチュウげんきでちゅうのページ


おことわり:この文章は、これまでみたいにレビュー的な文章では もはや無くなってしまっている気もしますが、まあこういうのもたまにはいいでしょう。

●購入までのいきさつ

 実はこの「ピカチュウげんきでちゅう(以下ピカげん)」、僕はそれほど前々から「買おう」と決めていたわけではないんです。 そして、発売日になっても、それほどそういう気持ちにはなりませんでした。丁度このころ、僕は日常的に いろいろショックな事が多くて、 ゲームをする気も起こらないくらい使い物にならなくなっていました。
実はこのころ「64版ゼルダ(時のオカリナ)」が発売されてからまだ4週間目で、世間のゼルダ熱が 冷めていなかったにもかかわらず、僕はそんなゼルダをちょっとやっただけで放り出していました。 別にゼルダが面白くなかったわけではなく、こういう頭を使うものをやる気も起こらなかったくらい 僕自身がどうしようもなかったってだけなので、 ゼルダファンの方、誤解しないでください(^^;
 さて、そんなときに、ピカげんの発売日の次の日(日曜日でした)、 ベスト電器西新店(※1)に行ったら、このピカげんがおいてあって、 自由にプレイできるようになっていました。「そういえば数日前まではバンジョーカズーイ(※2)が 展示されていたなぁ、とか考えつつ見ていましたが、子供達にはこの音声認識システム、大人気のようです。 子供達が甲高い声を上げて楽しんでいました。そういう訳で しばらく見ていました。少しだけだけど欲しくなりました。

その後、天神にいきました。そしてそこのベスト電器本店の前を通りがかったとき、何と今度は店の前にテレビを置いて ピカげんをやっているじゃありませんか。そしてプレイしている子供の周りにも人だかりが出来ていました。
まさに、ピカげんのテレビCMさながらの光景でした。さすがに、子供に「失敬」とか言って マイクを自分が握り、ピカチュウに「ピ・・・ピカチュウ」と言ったり、「かわいい」と言ったりするような真似は 出来ませんでしたが(※3)、ここでも子供達がプレイしているのを見て、無性に欲しくなりました。 で、その上、値段を見ると「特別価格」ということで安くなっていたので、その勢いで ついに購入してしまいました。
さて、そこで購入してからもしばらく、ピカげんをやっているモニターの前でずーっと子供達のプレイを見ていました。
そしたらベストのゲーム担当の店員さんと目があったので、しばらく「ピカげん」の話から、「どんなゲームが売れていますか?」とか さらには「64は売れていますか?」など、ひとしきり(10分以上だったかも)話をしました。

そして、暇だったのでしばらく、ピカげんの入った紙袋を持ったままピカげんの映ったモニターを見ていましたが、そしたら 一人の小学校低学年くらいの女の子が僕に、「買ったの?」と話しかけてきました。 僕は子供が嫌いではなかった(というより子供ずきかも....)ので、「うん、ほら」と紙袋からだして見せてあげました。
こんな風に僕が小学生から話しかけられたことって、最近ではカラーゲームボーイでドラクエモンスターズをやっていた時 くらいだったし、ましてや小学生の女の子から話し掛けられたことなんてもう10年くらいなかったと思います。 本当に良い会話ができたと思っています。

つまり、何が言いたいかというと、ピカげんは会話を楽しむゲームだけど、僕はこのゲームのおかげで、 ゲーム以外のところでいろいろと会話を楽しんだということです。

●さて、プレイ

そういうわけで、その日の晩、僕は久々にゲーム機(ニンテンドウ64)の電源を入れました。 ここで「ゲーム機」と断ったのは、ニンテンドウ64だけに限らず、ゲームボーイも他のハードも、 とにかく何もやる気が起きなかった状態がずっと続いていたということです。
そして、プレイ。さっそく声をかけてみます。「こんにちは」俺がマイクに話し掛けると、 ピカチュウは振り向いてくれました。俺が「かわいい」というと、顔を赤く染め、 「ゲットだぜ」というと、あのポーズを取ってくれます。たまにピカチュウは悪さもしますが いっこうに「だめ」とかそういう言葉は僕の口からは出てきません。説明書によると、 「でんきねずみ」というと怒ったピカチュウが見られるそうですが、 ピカチュウに向かってそんな言葉、口が裂けても言えません。
とにかくピカチュウが身をよじりたくなるくらい愛らしいです。虜になりました。 それと同時に思いました。
「俺結婚して子供作ったら、とんでもない親ばかになるんだろうなぁ....」

 と、僕は満面の笑みを浮かべ、ピカチュウに話し掛けていました。と、その時です。母が部屋に入ってきました。
「あんた、そんなにニタニタして、何やってるの」 考えても見れば、22のいい年こいた男が画面の中のピカチュウを見ながらニタニタしているのだからなるほど、 これほど不気味なものもないだろう(汗)。
勿論、俺はそれでもめげずにプレイを続けたのでした。

●会話って重要だよね

・・・と、このゲームをやっていて思ったのが、この「会話って重要だよね」ってことです。僕はこのゲームに久々にはまりましたが、 やはりこの「話をしながらゲームが進んでいく」というのが非常に大きなファクターだと思いました。
確かになかには、声をかけるのがどのようにゲーム性に作用しているのか分からないものもあります。たとえば「魚釣り」 (※4)だったら、 釣りをするピカチュウを応援したり、「ひっぱれ」って指示したりするだけで、自分では釣りをしません。これなら「ゲーム性が 低い」という声は聞きそうですが、やはり「実際に自分がピカチュウを応援している」って感じにさせてくれるのが すごくいいと思います。この感触がすごく心地いいんです。

そして僕がこのゲームをやり、またこのゲームを買ったときにいろいろな人と話をしたことによって、これまでただ落ち込んでいた 状態から少し持ち直すことが出来たというのもこの「会話」の重要さだと思います。これが、他のゲームみたいに相手と対戦して、 勝負がついて、そして次のより強い奴と戦うために鍛える、みたいな内容のゲームだったら、確かにもう少し元気でエネルギッシュな 時には面白かったかもしれませんが、こういう使い物にならない状態の時にはやる気も起こらなかったと思います。 やっぱり、会話をしているうちに、相手に対するいたわりとか優しさとかそういうのが芽生えていって、それによってわだかまりが ほぐれていく、っていうのを強く実感しました。

僕は、「ゲームが子供達をだめにする」と言っている大人達に、是非このゲームを見せてあげたいです。いや、そう思っている 人は、是非まずこのゲームをプレイしてください(そう思っている人はそもそもこの文章読んでないと思うけど)。 僕は、これこそ今の子供達がやるべき、そして大人達が子供達にやらせてあげるべきゲームだと思うんです。 そして、殺伐としたゲームばっかりやってる子供も是非一度はこのゲームをやってほしいです。持ってる子は是非、友達を呼んで一緒にやりましょう。

今回って、なんかもう完全に「さすけの妄想エッセイ」になってしまいましたね(^^;。


(注釈:
※1:ベスト電器西新店:
インターネットだというのにローカルな話で申し訳ないので一応注釈。
僕の地元は福岡(博多と言った方がわかりやすいかも)です。で、この西新というのは福岡タワーの近くの副都心です。
※2:バンジョーカズーイ:
正式名称「バンジョーとカズーイの大冒険」。西条秀樹が「バンジョー、カズぅーイ」と歌っていたCMを覚えている方も 多いと思います(微笑)。ピカげんの6日前、12月6日の発売だったんです。
※3:ピカげんのテレビCM:
あの、よくドラマで悪役やってる人(綿引 勝彦さん)がおじさんとして出てくる CMです。他のCMであのおじさんは会社でもピカチュウのことが頭から離れないようで、 書類の隅ににピカチュウの絵を描いていたりしていましたが、実際にプレイして、 その気持ちが、よく分かりました
※4:任天堂ゲームと魚釣り:
最近の任天堂ゲームには、釣りがよく出てくる。ゼルダにも出てきたし。これってやはり、MOTHERシリーズを手がけている 糸井重里の提案なんじゃなかろうかと思っているがいかがなものだろうか。僕は間違いなくMOTHER3には釣りが出てくると 踏んでいる。糸井重里自身も、「(MOTHER3には)自分の好きなものは全部入れていくつもりだ」って言っていたし。

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