牧場物語

ジャンル:A・SLG
ハード:スーパーファミコン
メーカー:パック・イン・ビデオ(現 パック・イン・ソフト)
定価:¥7800
発売日:1996年8月9日
備考:NP(ニンテンドーパワー)のラインナップに加えられている

ゲームの内容:荒れ果てた牧場を任される主人公が、2年半のうちに牧場を立て直す。途中で 結婚などもして子供も作ったりしつつ、幸せになることを目指して頑張る。


パック・イン・ソフトの牧場物語のページ

●システム

このゲーム、やっぱり楽しいです。特にこつこつ農作物を育てていくのが。 牧場経営シミュレーションということで、 いろいろやってお金を溜めていって、それで家を大きくしたり牧草の種や家畜や器具を買ったり するわけです。タイトルは「牧場物語」ですが、農作も出来るし、裏山でつりをしたり 季節によってはきのこや薬草をとってきてそれを出荷してお金にすることもできるのがいいです。
特に、序盤のお金のないときは、裏山から山葡萄を取ってきて出荷するのがいいらしいですが、 ゲームを始めたばかりのころは出荷できるなんてしりませんでした(僕はこのゲームをNPで 書き換えたので説明書が無かったんですよ)。

このゲームをやっている僕以外の人の感想としては、「第一次産業の楽しさだけでなく、 苦労する面も味わえる」というコメントを見た事があります。 実際、作物の収穫の喜びとかだけではなく、 野犬に家畜を荒らされたり、台風などの天災が来たりする。前者は牧場の柵の修繕を怠らなければ 大丈夫なんですが、後者は自然の猛威、ということでどうしようもありません(※1)
実際僕のプレイでも、2回台風が来たけど、そのたびに 大事に大事に育てた野菜が一部駄目になるのをみて、なんとも言えない感じになりました。 特に台風が来る夏には、収穫に時間のかかる作物ばっかりで、「さあ収穫だ」と思ったときに台風が来るのは たしかにいかんともしがたいものがあります。
しかし僕としてはホンモノの農業というのはこれ以上いろいろと大変なんだろうなあ、とも思っているから、 もう少しきつくてもいいんじゃないかと思っているくらいである。でもあんまりきつすぎると、 やっぱり楽しくないだろうからなあ、とも思う。
そしてこのゲームは、農作業とか畜産業というわけで、種をまいたりみずをやったり....と、 かなりの単純作業を強いられることになるのだが、これが単純作業特有の苦痛に感じるのではなく、 むしろ楽しく思えてしまうから凄い。
また、このゲームには幸せ指数という数値が設定されており(これは隠しパラメータである)、 これがこのゲームのコンセプトを物語ってるといっても過言じゃない、と僕は思っている。この 「しあわせ指数」は、「山で野ウサギを見る」とかそういうちょっとしたことで増え、「他人の日記を覗く」といった これまた些細なことで減ったりする。これが僕的に最高に気に入りました。

こうして、牧場経営だけじゃなくて、街に遊びに行ったりもできるので、そこにいる女の子に声をかけたりして、 結婚することも出来、子供を作ったりも出来る。このゲームの期限は2年半(ただし一つの季節は30日なので、合計で 300日です)なんだけど、やはりそれをずっと独り者で過ごすのも寂しいってことなんでしょう。

●世界観、ストーリー

まあ、スーパーファミコンのゲームだということでリアルだというわけではないんだけど、 かなり良い感じです。
特に裏山とかは音楽のよさもあいまって、実際に昔裏山を散歩していたのを 思い出すようなノスタルジックな気分にさせてくれます。 あと、牧場にしても、作った野菜が本当においしそうに見えます。特にトマトがいいです。
あと、このゲームには季節があるんですが....季節ごとのグラフィックの移り変わりが非常にいいです。 春は桜が咲き誇り、夏は青葉が生い茂り、秋は枯れ葉になり、冬は雪が降り積もって歩くと足跡が 残ったりして....個人的にこういうのがすごく好きなので。

どうでもいいけど、主人公はいったい何歳なんだろう?どう贔屓目に見ても10歳くらいなのに、 結婚とかしてるし....別にいいけど。

●ゲームバランス

システムの項で書いたように、本当にいい。わりとお金に苦労しないゲームなのでよい。 ただ、割と冬にやることがないのが難点か。家畜を持っていない人には、本当にすることがない。 (まあ、それがリアルというものなので、仕方が無いといえば仕方が無いから、それでいいと思っている。) 特に僕の場合、1年目の冬には鶏が3匹しかいなかったので、余った時間をつぶすために いろいろとやっていた。でも逆にそういう季節があったからこそ、女の子達と交流する時間が 出来たのでよかったと思っている。

でも、退屈しがちな単純作業だけど、たとえば1年のうちの決まった日にお祭りがあったりなど、 いかに単純作業で終わらせないか、っていう工夫はすごくされている感じがしていいと思った。

あと、NPの本ではジャンルは「アクションシミュレーション」であると説明されていたが、 アクション性は殆どないので、アクションが苦手な僕にも十分プレイできた。このゲームに 必要な「アクション」というのは、反射神経が問われるようなシビアなものではないが、 それでもやはり「物を持ち上げ、正しい位置に投げ置く必要がある。たとえば収穫した農作物は、 きちんと出荷箱に投げ入れないと『ぐちゃっ』とつぶれてしまう」といった割とシビアな操作を、 夕方までの制限時間(収穫したら夕方までに出荷しないといけない)のうちにしないといけないので、 指さばきが物をいうわけである。だれしもが1回くらいミスをして、出荷箱にいれようとしたら あさっての方向に投げてしまい、なんともいえない気分になったと思う。
ちなみに余談だが、このゲームは「持ち上げる」と「投げる」もしくは「置く」というアクションが大事で、 ニワトリを運ぶときも持ち上げることになるのだが、この「ニワトリを持ち上げる」という動作を見ていて、 誰もがゼルダでニワトリを持ち上げたときの事を思い出したと思う。全体的に「草を刈る」とか「パワーアップした カマは、回転して草を刈り取れる(回転斬り?)」とか、ゼルダを思い出させてくれるアクションが面白いゲームである。

閑話休題、全体的に僕はこのゲームで一番楽しいと思ったのは、作物や卵やミルクなどを出荷して、お金を ため、家が大きくなり、子供も生まれ、....と言う風にだんだん自分のやった努力が実を結んでくるところである。 特に、苦労して育てた作物を出荷箱に投げ入れるときの「ぽむっ」という音を聞くたびに至福を感じていた。
僕としてはこのゲームは立派にRPGの要素を持っていると思った。

今年の2月にN64で続編が出るという。なんかかなり楽しそうなので期待大。多分発売日に買うと思う。

●僕がプレイした場合・・・

 このゲームって、いろいろな楽しみかたがあると思う。とにかく完璧な牧場を作ろうとする人とか、 家庭を大切にする人とか、逆に結婚しても働きづめで奥さんから嫌われる人とか、その他いろいろ....
さて僕はどのような風にプレイしたのか。書いて行こうと思う。

★1年め、春の月

前述の通り、僕は説明書がない状態で始めたのだが、最初は何をやっていいかわからなかったけど取り敢えず 斧を使って木を斬って、薪をたくさん作っていた。一応農作もやっていたが、お金が出来るまでには時間がかかる。 てなわけで、最初は貧乏だった。で、その年の花祭り。普通のプレイヤーなら、ここで女の子に香水の一つでも プレゼントするのがセオリーなのだが、お金がないので出来なかった。春の終わり頃に、山葡萄や釣り上げた魚も 出荷できることを知り、「そうかあ、やられた〜」と思わずにはいられなかった僕でした。
ちなみに僕はこの時既に、街の女の子の中で、マリア(教会でパイプオルガンを弾いている女の子)に ターゲッティングして、アプローチをかけていました。どうしてこの子に惹かれたのか、今となっては分からないが。

★1年め、夏の月

この時の夏が一番ふんばった時だった。裏山の大工さんのところで、「1年目の夏までに2段階増築できればサービス」 という文字を見かけたからだ。後から知ったのだが、このときもらえた「サービス」というのは、具体的な時間が分かる 「時計」の事だったのである。
実はこのゲームはパラメータ画面を見ても時間が分からない割には「出荷は5時まで」「お店は6時まで」とか、 割とシビアな設定がされており、うかうかしていると作物を出荷もしないうちから夕方になっていた、 なんてこともあって、なかなかのんびりできなかったので嬉しかった。
とはいえ、僕が2段階目の増築を申し込んだのは、何と夏の月の30日。つまり、ぎりぎりだったのである。とにかく この夏は働いて働いて....という記憶しか残っていない。

★1年め、秋の月

こうして秋が訪れた。秋以降は、農作は出来ない。そういうわけで家畜の収入とか、裏山から取ってきたキノコなどに頼って いた。
確か既に家畜はニワトリを遅れ馳せながら1羽飼っていたと思う。家の増築とかそういうののために どうしても家畜のえさである牧草までお金がまわらなかった結果なのだろうが。しかも、牧草の種は、秋、冬には蒔けない。 でも、ニワトリの方は最終的に秋の終わりまでに3羽まで増やした。そしてそれが後悔のはじまりだった
と、そうこうしているうちに、日曜日だけお店を開いている行商人が「青い羽」を売ってくれた。これはプロポーズに使う ものらしい。そういうわけでさっそくマリアのところに持っていくと....「日曜日(土曜日だったかも)に返事をしますから」 と言われた。そして日曜日に行くと、....オーケーしてくれた。こうしてめでたくマリアと結婚したのでありました。

★1年め、冬の月

こうして僕の新婚生活が始まりました。これまではたまに遅れて帰ってくることもありましたが、もはやそんなことは無くなり、 必ず6時までに帰ってきて、奥さんの作った夕食を食べ、寝ていました。
そして、そうやって夫婦仲を良くしたのが幸いか、ある日、マリアが僕に一言、「あのね、私....子供が出来たみたい」。 なんとも言えない感触でした。特に、このゲームの主人公は前述の通り、どう見ても小学生です。そのくせ結婚して、あまつさえ ガキまでこさえてしまうとは....(嫉妬)おそるべし、ぜのん(注:主人公に付けた名前)。
さて、家畜の方ですが、いきなりピンチになったのです。何と、餌となる牧草のストックが、 どう考えても春までもたないのです!そう、前述の通り、僕は春と夏のうちに牧草を育てるのを怠ってきました。 その報いなんですね(汗)。仕方がないので、道具屋から「非常用の餌」を買ってきて、それがある限りはそれを使うことに していました。一応この餌を使っても、卵の出荷額の方が単価が高いので、採算は取れるという風になっていましたから。 でも、道具屋は土日は休み。しかも12個入りの非常用の餌は、使い切らないと新しいのを買えません。そういうわけで、 自分の迂闊さを反省しつつ、冬の間はカレンダーで曜日を確かめつつ街に走っていました。

★2年め、春の月〜夏の月

さて、2年目の春がやってきました。2年目は1年めの教訓を生かし、まずは牧草を大量に購入しました。そしてついに 牛を買いました。このころから、「水を撒いたりするのは時間がかかりすぎ」ということで、奥さんといる時間を 長く持つために、農作を少な目にしていました。そして裏山から花を取ってきてマリアにプレゼントしたりしていました。
そして夏、ついに男の子が生まれました。この嬉しさは何物にも代え難い感じです。
しかし、その前後、台風が来ました。1年目も台風が来たけど、2年目の台風は、作物を沢山育てていただけに被害がひどかった です。なるほど、楽あれば苦あり、です。

★2年め、秋の月〜冬の月

さて、また手持ちぶさたの秋がやってきました。今回は前回のように牧草が足りないという心配もないし、ニワトリだけではなく 牛もいてミルクを出してくれるので、非常に収入が安定しています。牧場主で安定するというのも変な話だけど、なんて現実的な ことを考えつつ、わりと充実感に浸っていました。
このころは時間が余るので、いろいろやってました。中でも、牧場の外れの方にある井戸の中に入ると、小人(コロボックル)が いて、話が出来るのですが、なんか喋りかたが幼稚園児みたいに「あのねあのねー、通り抜けられるようになったのー!」とか、 「もぐらって知ってるー?あいつ牛をびっくりさせるのー。柵の外に出した方がいいかもー。」というような喋りかたをするので、 なんかすきになって、しょっちゅう行っていました。
そんなことを考えていると、何と奥さんがまた妊娠したようです。おぉ、もう2人めかぁ、と顔が思わずほころんできました。

★3年め、春の月

そして3年め。町長さんがある朝家に来て一言「やあ、君の御両親は今年の夏の終わりに来るそうだ。この牧場を見たら、 きっとびっくりするだろうよ」。その言葉に僕は奮起した。「そうか!あと60日くらいなのか!頑張るぞ!」
てなわけで、今年は牧畜だけではなく、農作の方にも力を入れることにしました。牧草の種とかぶとじゃがいも(春野菜)の 種を大量に買い、畑を一気に耕していきました。1年めのころはじょうろで水を撒いていましたが、今はスプリンクラーで一気に 広範囲に水が撒けるようになっています。器具が新しくなっているのに、2年目は全然使っていなかったので、ここぞとばかりに 一気に使っています。
....おかげで、帰るのが遅くなるようになって、奥さんを先に寝かせてしまうようなこともしばしば。 「このままじゃマリアに嫌われてしまう!やばい!」そう感じた僕は、それから遅れそうな日は、毎日のように お花やケーキを店から買ってきて、マリアにプレゼントしていました。「今日は遅くなるけど、これで我慢してね」みたいな 感じで。
でも、その甲斐あってか、奥さんとのトラブルも特に無く(どうやら奥さんに嫌われると、実家に帰ってしまったりすることも あるらしいからこわい!)、お金も着実にたまり(このころようやく10万Gを超えた)いい感じでした。

★3年め、夏の月

そしてラスト1ヶ月です。この時ついに2人目の子供が生まれました。
それでも僕は前述のようにプレゼントをあげては夜遅くまで仕事を続ける日々を送っていました。なんとも悪い父親です。 とにかく山のようにトマトとトウモロコシを育て、出荷していました。このときニワトリは12羽、牛は6頭になっていました。 毎日これらの作物に水をやり、家畜に餌をやり、牧草を刈り取り....と相当な重労働をこなしていたわけです。
そしてついにラスト、両親が牧場を見にきました。なんか結構誉められていました。エンディングでいろいろな数値が出、 ここで始めて奥さんの愛情度などの数値を見ました。幸せ指数は999でした。
マリアの愛情度は989でした。あと10ポイント少ないのは、やはり最後の日に遅く帰ってきたからでしょうか。 最後にマリアから、「いつまでもしあわせでいましょうね、あなた....」といわれておしまい。
満足感。ただ、敢えて難をいうなら、エンディングが終わったあとも、牧場の開発がしたかったなぁ、とも思う。

●総合評価

とにかく楽しいです。ぼくはこのゲームの世界観とシステムの両方が気に入りました。いろいろちょっとした不満も 書いてはいますが、はまることに関しては言うこと無しです。これをやっていたころは忙しかったのにこのゲームがやりたくて 仕方がなくって、意識してこのゲームをやらないように努力しないといけないくらいでした。
N64で続編が出るそうなので、また買うと思います。
(注釈:
※1:台風は防ぎようが無い
しかし、このゲームの卵祭りの景品として「災害よけのお守り」をもらった。それ以来、台風は 来なくなったのを見ると、このお守りが効いているのだと思う。一応、台風の防ぎかたはあったわけね。

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