ぼさのヴぁ.rpg

ジャンル:アドベンチャーゲーム(サウンドノベル系)
プラットフォーム:Win95/98/2000 (RPGツクール2000作品)
作者:k-sukeさん
種別:フリーソフトウェア
ダウンロード先:現在ダウンロードできない?

ゲームの内容:アヴィンは、ばくちのせいで奥さんに逃げられた父親と二人暮し。 あるとき、父親から「世界を蹂躙する魔王を倒すために旅立て」といわれ伝説の装備を 渡される。なぜか洋楽および中国史にちなんだ装備達。父親の話は胡散臭いこと 極まりなかったが、昨晩夢に大地の神ルティスからのメッセージを受け取った(と 思い込んでいる)アヴィンは旅立つことにする。洋楽と中国史、そして パロディーと体を張ったギャグで満たされた抱腹絶倒の世界が展開する新感覚アドベンチャー。


なぜ今、ツトム君ではなく、ぼさのヴぁなのか

まず最初に。この「ぼさのヴぁ.rpg」(以下ぼさのヴぁ)、今はダウンロードできません。 それに、この作者k-sukeさんの代表作として有名なのはむしろ「寅井さん家の ツトム君(※1)」(以下、ツトム君)の方だというのも分かっています。 実際、ツトム君の方は 年間ランキングでもランクインする人気作品です。
「なぜ、わざわざ今、ぼさのヴぁを取り上げるのか?」とお思いでしょう。 しかし、それだけ取り上げる価値があると判断したから取り上げるのです。この感想文を 読み進めてもらえれば、きっと分かってもらえるはずです。

い、今時パフィーかよ…(※2)

まず、このゲームの内容ですが、実在人物などをネタにしまくっています。 (法律的には別に曲の歌詞とかが出てくるわけではない(※3)ので 問題はありません。)しかし、実にネタにする題材がいいのです。 そもそもこのような「なかなか誰もやらないことをやった」というのがいいし、 かなりパンクなセンスがいいです。

僕が一番心に残ったネタが、「レイクエンジェル」。
最近の金融機関はむ○んくんといい銀○堂といい、何を考えているのか、 インパクトさえあればいいのか、などと疑問を感じていた僕にジャストミートな ネタでした。…あ、いや、そこまで深く考える必要もないんですが、 レイクエンジェルの「ク」は楽をしているのではないか、 という話題は、最近僕の周辺や雑誌の投稿でもよく見かけますが、 僕が最初にみかけたのはぼさのヴぁで、でした。

とまあ、ややクセがあるので、確かに人によって、 評価のポイントが分かれると思うんですよね。でも、僕はツボにはまりました。 それに、皆「どのギャグが受けた?」って聞くと、多分結構分かれると思うんです。 でも、それがまたいい感じです。

評価:肩こりが取れました(^^;

評価のポイントが分かれると話しましたが、 実際やはりツボにはまった人たちには評判がよく、 「面白かった」という人がかなりいました。

しかし、です。同時にクセのある作品です。実際、作者の哲学からしても、 この作品に純粋に「面白かった」という言葉を贈るのは、ちと野暮ではないかと 思うのです。
それではどんな言葉がぴったりか?それを考えた結果、 僕はこのゲームの評価を「肩こりが取れた」としました。 すなわち、

面白いので笑ってしまう→しかし、通常と違う種類の 笑いなので、奇妙な笑い方をする→普段使わない筋肉を使う →それらの筋肉がほぐされる→血行がよくなる→肩こりがとれる
という理屈です。 いや、前も書いたとおり面白いのは間違いないんです。 しかし、「面白い」という表現は野暮なので、「肩こりが取れた。」 いかがでしょう。これ以上的確な表現があるでしょうか。

そういうわけで提案です。この「肩こりが取れた」という表現は 応用が利くと思うのです。そこで、 「なんかこう、面白いとはちょっと違うんだけど、 惹かれるものがある」とか、自分の感じたことをうまく言葉に 出来ないでいる人は、 はっきりと作者に感想を言ってあげましょう、 「ぼさのヴぁ.rpgで肩こりがとれた」と。 どっかの通信販売の広告にもなりそうなこのフレーズ、 まさにこれこそが評価にふさわしいといえます。

しかし、それでは僕はこのゲームのどこに惹かれたのでしょうか? それを考察すべく、セロリーとの比較もしつつ、「僕はここに惹かれた!」という 並々ならぬ情熱を述べたいと思います。

ダメージ制がもたらすもの

それでは、「ぼさのヴぁ.rpg」というタイトルですが、 どこが具体的にRPGなのでしょうか?これを考えて見ましょう。

すると分かるのが、セロリーとの違い「ダメージがある」という点が 出てきます。勿論ダメージ自体は固定しているものですが、 ギャグの衝撃に応じてダメージが大きくなるという、 我々RPG世代にはなかなかに分かりやすい&パロディーとして 笑えるというのがあります。
さらに、数値として定量化(なんか数学的用語(^^;))することに よって、衝撃の大きさを暗に示すという効果もあります。

セロリーでボケ役のセットルは魔法で突っ込まれつづけますが、 お約束のごとくダメージを受けないのとは大違いです。

さて、この違い、お分かりでしょうか。
それはまさに、ぼさのヴぁは「体を張った」ネタが 繰り広げられるということです。
実際、自虐ネタを含め、かなり精神的にきついものが多いのです。 それをまさに「ダメージ」という形で表現しているのではないか!僕はここで このような大胆な仮説を立て、広く公表するものであります!(某ショックサイエンス風)。
そうなのです、ギャグや自虐ネタでダメージを与えつづけ、 こちらも受けつづける!!!最高に凄まじいバトルです。 いかがでしょうか、まさに漢(おとこ)の戦いです!!!(目がマジ)

体を張った体当たりのネタたち

そう、セロリーと迫力が断然違います。 僕たちに迫ってくるものがあります。最強です。

お互い自虐の嵐。 後半になってくると「なななな、なんだこりゃー!!!!???」と 叫びたくなるネタまであって、 まさに体を張っているなあ、と思うのです。

ついには、作者まで
199X年、アヴィンは核の炎に包まれた
と、自らのボイスで応戦します。
…そう、もう疑いの余地はありません。この作品の笑いは、「体を張った自虐系」です。 作者の生ボイス入り。 こういうのは評価は分かれると思うのですが、 僕はこの「体を張ったギャグ」に 真の漢を感じ取りました。

体を張ることの持つ迫力

ところで、ぼさのヴぁとセロリーはよく引き合いに出されます。で 「どちらかひとつ」といわれた場合、意見は五分五分に分かれると 思うのですが、僕の中では頭一つぼさのヴぁがリードなのです。

なぜかは、ここまでの文脈から、もはや申し上げるまでもないでしょう。

それは、「"体を張ること"の持つパワー」というものを、ここまでの迫力で 描ききっているからです!!!

そう、「体を張ること」は、地球2番目に最強の力です。(最強は、言うまでもなく愛です。) 言うなれば、体を張ることは愛の次に大切な 人間としての尊厳です。

僕は、それを身をもって知っています。 高校時代、僕は「変な奴」と呼ばれていました。友達と呼べる人はいなかったものの、 知名度は抜群に高く、誰からも馬鹿にされておりました。
運動会の集まりで、「お前、喜びを体で表現しろ」と言われて、(僕の本名の苗字)コールが 起こり、僕は単身ステージの上に上がり、 全身の体をくねらせて不思議な踊りを踊りました。
まさにこれが"体を張ること"です。僕は、 誰からも強制されませんでした。いじめられていたわけでもありませんでした。 ただ、僕の中にある「体を張るスピリット」がそれを行わしめたのです。
僕が踊った力は、まさに地球の全人類を揺るがしかねない、衝撃的なものでした。 その気になれば、世界を一瞬のうちに劇的に変える事すらできたでしょう。 そう、 体を張ることが地球を救うのです!!!!!! まさにそれこそ、ぼさのヴぁの最大のメッセージなのです!!!!!(暴走しまくり)

ぼさのヴぁは、作者の言葉を借りると「どこまでヨゴレられるか」がテーマであると言います。 まさにこの「ヨゴレ」と、僕がここで述べた「(自虐的なまでに)体を張ること」は 共通するものではないか、このように仮説を述べて、分析を終わりたいと思います。

今なお話題に上る伝説のゲーム

さて以上が僕の感想ですが、僕は以上の文で、皆さんの中で 「ぼさのヴぁが面白いと思っているけど、具体的に言葉に表わすのが難しい」と 思っていた人の思いをきちんと言い表すことが出来ていれば、と思います。
ぼさのヴぁファンの皆様、 読んでいたら、是非とも自分の言葉で感想を吟味してみましょう。 きっと、新しい世界が開けてくると思います。

最後に、作者さんへ。個人的には、ぼさのヴぁ、間違いなくセロリーと双璧をなす ゲームだと思っています。
残念なのはタッチの差でセロリーに先を越されてしまったこと。 僕としてはそれならば是非ともフリーソフトとして公開してほしい! と思っております。ベクターなどで公開されると、きっと人気になると思います。


更新時注@01/07/30

(※1)寅井さん家のツトムくん
上橋様から漢の友情によるご指摘をいただきまして直しました。 もともと「虎井さん家のツトムくん」となっておりました。

(※2)い、今時パフィーかよ…
これまた上橋様からの熱い友情によるコメントです。 正確には
アシュラム>…ば、ばかな…
カーラ>……今時アムラーなんて……。
とのこと。

(※3)曲の歌詞とかが出てくるわけではない
実は歌詞が出てくるらしいです(序章のタイトル)。 歌謡曲をあまり聴かない僕は分かりませんでした(汗)。 k-sukeさんのサイトの元ネタ集を 見ていて知りました。 まあそれでも「8小節以上の一致」がなければ大丈夫、とかその系統の 基準には抵触していない…はず。


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