へっぽこ二人組みの何でも屋セロリー

ジャンル:アドベンチャー(作者の自己申告ジャンル:見るRPG)
プラットフォーム:Win95/98 (RPGツクール2000作品)
作者:ヘルメスさん
種別:フリーソフトウェア
ダウンロード先:コンテストパーク過去の受賞作品(ツクール2000)
入賞歴など:コンテストパーク2000年10月銅賞(10,000円), 2000年度年間人気ランキング5位

ゲームの内容:セットルはセルソンと一緒に何でも屋を開いている。店の名前は セットルの片思いの女性の名前にちなんで「セロリー」。しかしなぜか店は洞窟の奥深く。 その上なぜかトラップが仕掛けてあるためせっかくのお客が帰っていってしまう。 今日もセットルはジャリ湯を飲みながらセルソンの突込みを受ける。
今回は町長カプラノから赤鷹サーカス団に対する依頼をうけることになるのだが…。


「ジャリ湯のためなら火の中水の中」「じゃあ入ってろー!」

セロリーは、一言で言うと、「ボケと突っ込みを見る」ゲームです。「見る」であって、 そこにはプレイヤーの関与は一切存在しません。要するに厳密に言うとゲームではなく 漫才を「見る」ゲームなのです。このやり取りはこの章の見出しにした会話に代表されてます。 ちなみにボケが店長セットル、突っ込みが店員セルソンです。この突っ込みの後に、 セルソンがセットルに攻撃魔法をお見舞いするわけです(勿論ここでは火炎系と水流系)。 で、セットルは「いたいなあ、もう」
…全然いたそうじゃない
のが素晴らしい。 丁度、ウィザードリィなどである「ダメージ0のブレス」 みたいなもんなんでしょう(ややマニアなネタで失礼)。
まさに漫才、まさに予定調和です。

「その樽は?」「紹介しよう、僕の両親だ。」

そしてストーリーはボケと突っ込みを中心に進むのですが…ボケと突っ込みの 繰り返しばかりで一向に話は進みません(^^;。でも、まさにその引き伸ばし方が 神業で、それこそセロリーの醍醐味なのです。 実際、ボケと突っ込みの種類も非常にバラエティに富んでいます。

要するに、この漫才的やり取りを楽しめるかどうかがこのゲームを楽しめるかどうかの ミソなのですが……僕?ええ、つぼにはまりまくりです。 というか、前述のとおり、バラエティに富んでいるのでこれだけあれば、どんなに 頑固者がプレーしても二つ三つはツボにはまるはずです。

「アンパンの奥さんを食べる夢だな。」

ちなみに僕の主観ですが、このゲームのギャグの中のメインは、主にナンセンス系 であるように思えます。要するに「ぼく、ドラピーもん」と同様、 何も考えずにやってげらげら笑う、あるいは不安なときなどにやると非常によい 効用が得られると思います。いや、やはりこの系統は何も考えずにプレーするのが 一番ですし、実際僕はこのゲームに救われました。 ありがとう、セロリー。

また、さらにいいなと思ったのは、前述のとおりバラエティに富んでいること。 健全系かと思えば、「窓なのにサドです。」なんていう ちょっときわどい(?)ネタもあったりして、ここらへんがちょっとしたアクセントになってます。

執事の名前はセバスちゃん

それにしても始終ぶっ飛んでます。ええ、とにかくぶっ飛んでます。 その中でも、カプラノさんの家の中が印象深いです。
黄金のライオンとフードアルバイターの佐藤くんのくだり。「歯はないので安心ですぢゃ」 「ごく」(飲み込む音)どうやら生きて帰ってこれたら一日百万円のバイトらしいのですが…
このくだりは、ヘルメスさんに脱帽しましたよ、ええ。

さらに、ここで出てくるコスプレ執事なのですが、名前が「セバス・ちゃん」 「なぜちゃんが平仮名なんだ〜!!!」と突っ込みますが、その後も「セバスチ」になったり 「セバスチン」になったりとせわしなく改名するセバスさん。
っていうか、この系統のボケ以前に、「執事=セバスチャン」 の公式が既に我々の世代では ステレオタイプとして定着してしまっていることを再確認して目から鱗が落ちたような 気分になりました。
落語では、ステレオタイプの話を持ってくることは基本ですが、こういうタイプのステレオタイプを 持ってきてくれるヘルメスさんが気に入った(微笑)。

「しょうがないだろ、サンプルに大きいテントのマップチップが なかったんだから」

さて、ここまで読んできた方は、気づかれたと思いますが、今回僕は、セロリーという ゲームを誉めているというよりは、作者のヘルメスさんを誉めていますね。 これはなぜでしょうか。それを考えてみます。

この系統のゲームは、どうしても作者そのものがゲームに出てきてしまうことが 多いようで、このセロリーでもそれは例外ではなかったからです。
一般にこういう「ゲームに作者が出てくる」というのは、注意して行うべきですが、 どうもこの系統の漫才系ゲーム(ぼさのヴぁ、ドラピーもんなど)では、多くの場合 プラスに働くようです(少なくとも僕の感性には)。

ようするに、僕がヘルメスさんを直接誉めたのは、 丁度、漫才に対してその芸人を誉めるように、漫才ゲームも作者を直接誉めるような ものでしょうか。とにかく、漫才系ゲームは、 普通のゲームとは少し性質が違うようで、 むしろ漫才というものの性質上、作者の我が強くてもいい、むしろ少し強いくらいが 丁度いいのではないでしょうか。 …そんなことを考えてしまいました。
だって、純粋に笑えたもん、この章の見出しにもある 一文見て。

「一人の一笑にわが作品の価値あり」(c)ヘルメスさん

以上、一通りセロリーの腰砕け系ナンセンスな側面を述べてきましたが、 一連のストーリーもしっかりしていますし、何より「笑いの中にも感動はある!」といった スタンスが感じられるのがいいです。実際、クライマックスでは「おおっ」と思うような 展開になったり、とゲームとしてのフォーマットをきちんとしていることは 特筆に価すると思います。
実際、楽しいのも事実なのですしナンセンス系のギャグ満載なのも事実ですが、それと 同時に収拾つけるべきところはきちんと収拾つけているのがよかったです。

最後に。僕はあまりお笑いには興味がないので良く分からないのですが、 ヘルメスさんは東京都にお住まいだそうで、関東在住でもこういうギャグが 作れることは凄いと思いました。


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